こんにちは、引き続き、牛乳について考えていきたいと思います。
先日は、「乳がんと牛乳」という本で、著者のプラント教授が、ご自身の乳がんを自分で考えた方法で克服した事をご紹介したのですが、その続きを考察していきます。
一般的な牛乳は多量のホルモンが残留している
市販の牛乳の多くは妊娠している牛から搾乳しています。
一般的な乳牛は、受精後の妊娠期間(約9ヶ月)を経て出産をします。
その後、搾乳を開始し、その出産の2ヶ月後には次の受精を行います。
そしてまた妊娠期間を経て、次の出産をします。その後体調維持の為に2~3か月は搾乳をストップし、また搾乳を始めます。
なので、一般に市販されている牛乳の75%は「妊娠牛」から搾乳されたものになるそうです。
妊娠すると血中ホルモン濃度が高まります。
当然ですが、妊娠牛から搾乳した牛乳には女性ホルモンの残留が多くなります。
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【ホエイ中の硫酸エストロン】
非妊娠牛から搾乳した牛乳 ⇒30pg/ml
妊娠40日の妊娠牛から搾乳した牛乳 ⇒150pg/ml
妊娠220日の妊娠牛から搾乳した牛乳 ⇒1000pg/ml
※ホエイ・・牛乳から脂肪と固形タンパク質を取り除いたもの
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妊娠の後期の方では、非妊娠牛の30倍以上にもなるホルモンが残留しています。
またラットの研究では、妊娠牛から搾乳された一般牛乳と、非妊娠牛から搾乳された牛乳の飲用前後の尿中エストロゲンの排泄量を量った実験で、市販の牛乳の方が明らかにエストロゲンの量が多く、ラットの子宮の重量も114mg→142mgとかなり大きくなっています。
つまり、妊娠牛から搾乳された牛乳は非妊娠牛のものより、子宮肥大作用が明らかに大きくなるという結果から、おそらく人間にも同じように影響していくと思われます。
牛乳に含まれる IGF-1
牛乳には生まれた子供の成長を促す IGF-1(インスリン様成長因子-1)を含んでいます。
IGF-1は細胞の分裂と増殖を起こし、その作用は細胞の分裂増殖がもっとも盛んな時に発揮されるそうです
つまりは乳児期と思春期、成人ではガンの増殖期にあたります。
アメリカでは牛乳の生産を増加させるために、遺伝子組み換えウシ成長ホルモン(rBGH)を乳牛に接種しています。
このrBGHは、IGF-1の生成を促進します。
rBGHが与えられた牛の牛乳は、普通の牛乳よりIGF-1値が2~5倍も高く、その乳牛の肉は、IGF-1濃度は普通の乳牛の2倍程高くなります。
そして、重要な事は、牛乳にはエストロゲンが含まれていて、そのエストロゲンがIGF-1の増加をもたらすことです。
エストロゲンは低脂肪、無脂肪の牛乳にも存在します。
rBGHの与えられた牛の牛乳は、さらにIGF-1が増加することになります。
EUは1995年、rBGHを圏内において、牛乳生産に用いることを禁止しています。
それまでの実験結果から、「過剰なIGF-1濃度は乳がんと前立腺がんの発生リスクの深刻な増加をもたらす」という判定をしたからです。
そして、日本でも使用されていません。
まとめ
専門用語が並んで、読みづらい文章になってしまったのですが、まとめますと、
- 一般に売られている牛乳の75%は妊娠している牛から搾乳されている
- 妊娠牛から搾乳された牛乳には、エストロゲンが多く含まれていてる
- 牛乳には細胞の分裂増殖を促進させるIGF-1(インスリン様成長因子-1)が含まれている
- アメリカの牛乳にはrBGH(遺伝子組み換え牛成長ホルモン)を与えられているので、IGF-1濃度が普通の牛乳より2~5倍高い。その肉は普通の乳牛のものより、2倍高い
- IGF-1はわずかなエストロゲンにも強い影響を与える
- その結果、IGF-1はホルモン依存性のがん細胞の分裂・増殖を促進する(乳がん、前立腺がん)
つまりは、”哺乳類のミルクは細胞が成長する子供の時期に飲むべきもので、成長しない成人は飲んではいけない” ということになります。
(※参照:「乳がんと牛乳 がん細胞はなぜ消えたのか」著者:ジェイン・プラント)
まだしばらく、牛乳の考察を続けたいと思います。